長野県中野市に位置する丸世酒造店は、創業1870年の歴史ある酒蔵でありながら、現代的なアプローチで日本酒造りに挑戦し続けています。特に注目すべきは、長野県内で唯一「もち米四段仕込」という伝統製法を守り続けている点。丸世酒造店の代表銘柄「勢正宗」は、志賀高原の雪解け水と地元産の酒米を使用し、独自の製法で醸される珠玉の逸品です。この記事では、以下のポイントを詳しく解説します:
- もち米四段仕込による独特の味わいと特徴
- 勢正宗シリーズやCarp Seriesなど、注目の銘柄ラインナップ
- 酒蔵見学の予約方法と楽しみ方
- オンラインショップでの購入方法と取扱店情報
伝統と革新が織りなす丸世酒造店の魅力を、順を追って詳しくご紹介していきます。
丸世酒造店とは?基本情報を詳しく解説
長野県中野市に位置する丸世酒造店は、1870年(明治3年)創業の歴史ある酒蔵です。「世の中が丸くなりますように」という願いを込めて名付けられた蔵名には、地域社会との調和を大切にする精神が込められています。特筆すべきは、現在では稀少となった「もち米熱掛四段仕込み」という伝統的な製法を守り続けていることで、この独自の技法により生み出される日本酒は、優しい甘みとキレの良さを特徴としています。
所在地・連絡先・営業時間
基本情報
- 所在地:長野県中野市中央2-5-12
- 営業時間:9:00~17:00
- 定休日:日曜日
- 電話番号:0269-22-2011
アクセス情報
- 最寄り駅:長野電鉄「信州中野駅」
- 駅からの所要時間:徒歩約10分
見学・試飲について
- 試飲:無料
- 見学:非醸造期(4~9月)のみ受付
- 予約:要事前予約
創業年と歴史
丸世酒造店は、明治維新直後の1870年に創業されました。約150年以上にわたり、志賀高原の麓で酒造りを続けてきた老舗酒蔵です。
立地環境の特徴
- 標高:約360メートル
- 気候:冬は-10℃以下、夏は30℃以上
- 水源:志賀高原の雪解け水を使用
初代関申七郎のエピソード
創業以来、関家が代々酒造りを継承してきました。現在は5代目が蔵を守り、家族とともに伝統の技を受け継いでいます。特に注目すべきは、昔ながらの製法「もち米熱掛四段仕込み」を守り続けていることです。
製法の特徴
- 通常の三段仕込みに加え、4回目にもち米を投入
- 蒸したての熱いもち米を使用する独自の技法
- 優しい甘みと旨味が特徴
地域との関わりと伝統
丸世酒造店は地域に根ざした酒造りを心がけています。
地域との繋がり
- 地元産の酒米を使用(ひとごこち、山恵錦など)
- 長野県開発の酵母を使用
- 地域の食文化との調和を重視
環境との調和
- 志賀高原の自然環境を活かした酒造り
- 千曲川の伏流水を使用
- 四季の寒暖差を活かした醸造
特徴的な製品ライン
- 勢正宗シリーズ
- GREEN CARP(グリーンカープ)
- 季節限定商品
丸世酒造店では、伝統的な製法を守りながらも、時代に合わせた新しい取り組みも行っています。蔵見学では、昔ながらの道具や設備を見学できるほか、丁寧な説明と試飲を通じて、日本酒造りの奥深さを体験することができます。
丸世酒造店の代表銘柄と特徴
丸世酒造店の代表銘柄「勢正宗」は、150年以上にわたり受け継がれてきた伝統と技術が結実した日本酒です。特に「もち米四段仕込み」という独自の製法により、他では味わえない個性的な味わいを実現しています。
代表銘柄「勢正宗」の魅力
勢正宗の名前の由来は「鯉の滝登り」にちなんでおり、ラベルにも鯉の滝登りの図柄が描かれています。この図柄には、上へ上へと突き進み、酒造りを極めていきたいという願いが込められています。
もち米四段仕込の製法
もち米四段仕込は、通常の三段仕込みの後に4回目として蒸したもち米を熱いまま加える伝統的な製法です。現在、長野県では丸世酒造店のみが継承している稀少な醸造方法となっています。
使用するもち米は、信濃町で栽培される長野県の奨励品種「ヒメノモチ」を使用しています。
味わいと香りの特徴
勢正宗の特徴は以下の通りです:
- 穏やかな香りと派手さのない旨み
- 柔らかで程よく深みのある味わい
- 飲み飽きしない優しい甘さとキレの良さ
- 冷酒から燗まで幅広い温度帯で楽しめる
その他のラインナップ
Carp Series(鯉の滝登りシリーズ)
6代目晋司氏が手掛ける次世代の酒として「勢正宗Carp Series」を展開しています。切り抜かれた鯉の躍動感あふれるラベルが特徴的で、伝統を守りながらも新しい挑戦を続けています。
地元産酒米を使用した特別酒
地元産の酒米を使用した特別酒には以下の品種を使用しています:
- ひとごこち
- 金紋錦
- 山恵錦
これらはすべて長野県で生まれた品種で、標高400mから800mほどの涼しい気候で栽培されています。契約農家との連携により、高品質な酒米の安定供給を実現しています。
丸世酒造店のお酒を購入するには?
丸世酒造店の日本酒は、オンラインショップと実店舗の両方で購入することができます。製造元から直接購入できるため、新鮮な状態でお酒を楽しむことができます。
オンラインショップでの購入方法
丸世酒造店では公式オンラインショップを運営しており、以下の特徴があります:
- 工場から直接配送されるため、中間マージンのない価格設定
- 代金支払い確定後5日以内に発送
- 送料は別途必要
- クレジットカード決済・後払い決済に対応
店舗での購入可能場所
直営店と取扱店情報
直営店
- 所在地:長野県中野市中央2-5-12
- 営業時間:9:00~18:00
- 定休日:日曜日
主な取扱店長野県内:
- みねむら酒店(信濃町)
- 河島屋(長野市松代町)
- ハトヤ商会(長野市)
- 地酒屋 宮島酒店(上田市)
- 酒の原商店(上田市)
- 三代澤酒店(松本市)
県外:
- 地酒ミュージアム 信州おさけ村(東京・新橋)
- 銀座NAGANO(東京・銀座)
- 山松屋酒店(東京・北区)
- 遊銘館(大阪市)
- 七里酒店(愛知県)
多くの取扱店では試飲も可能で、好みの味わいを確認してから購入することができます。また、一部の店舗では配達サービスも実施しています。
丸世酒造店を訪れる:酒蔵見学とイベント情報
丸世酒造店では、非醸造期(4月~9月)に限り酒蔵見学を受け付けています。見学には必ず事前予約が必要で、平日9時から17時の間で実施されています。
酒蔵見学の予約方法と見どころ
予約は電話(0269-22-2011)で受け付けており、2日前までに連絡が必要です。
見学時間は約1時間程度で、昔ながらの酒蔵の雰囲気を楽しむことができます。
製造工程の見学ポイント
見学では以下の特徴的な製造工程を見ることができます:
- 伝統的な「もち米熱掛四段仕込み」の製法設備
- 明治時代から使い続けている昔ながらの道具
- 志賀高原の雪解け水を使用する濾過システム
試飲コーナーと特典
試飲は無料で提供されており、以下のような日本酒を味わうことができます:
- 代表銘柄「勢正宗」シリーズ
- 純米酒や本醸造酒
- 搾りたての生原酒(季節限定)
イベント・試飲会の最新情報
2024年の主要イベントとして以下が開催されました:
- 日本酒フェア2024(7月5-6日、池袋サンシャインシティ)への出展
- 信州SAKEまつり2024(11月23日、長野駅東口公園)への参加
季節限定イベント
丸世酒造店は地域の日本酒イベントに積極的に参加しており、季節に応じて様々な特別酒を提供しています。
2024年は「勢正宗 59醸 純米吟醸 2024」などの限定酒を各イベントで提供しました。
丸世酒造店の評判とレビュー
丸世酒造店の日本酒は、伝統的な製法と革新的な取り組みの両面で高い評価を得ています。
「勢正宗」に関する口コミ
「勢正宗」シリーズの特徴として、以下のような評価が寄せられています:
- 穏やかな香りと派手さのない旨みが特徴
- トロトロとした甘味と旨味のバランスが良い
- 飲みやすく、個性的な鯉のラベルデザインが印象的
特に「ORANGE CARP」シリーズは、以下の点で高評価を得ています:
- とろりとした水飴のような甘味と複雑な旨味のハーモニー
- 重厚な味わいながら後味がすっきりとしている
- アミノ酸の複雑な味わいが特徴的
メディア掲載と受賞歴
近年の主な注目を集めた取り組みとして:
- 信州大学との産学連携による「勢正宗 信大仕込」の開発
- 長野県の若手蔵元による「59醸(ごくじょう)」プロジェクトへの参加
- 「信大クリスタル」技術を活用した革新的な仕込み水の開発
特に「信大仕込」は、伝統的な酒造りと最先端技術を融合させた取り組みとして、メディアから高い注目を集めています。
丸世酒造店へのアクセス情報
丸世酒造店は長野県中野市中央2-5-12に位置し、信州の日本酒文化を体験できる観光スポットとして人気があります。
交通手段と最寄り駅
公共交通機関を利用する場合
- 最寄り駅:長野電鉄「信州中野駅」
- 駅からのアクセス:徒歩約10分
- 駅から蔵元まで:駅正面出口から徒歩12分
車で訪問する場合
- 上信越自動車道「信州中野IC」から約15分
- 駐車場完備
- 信州中野ICから市街地へのアクセスは良好
周辺の観光スポット
志賀高原などの観光地
中野市周辺には魅力的な観光スポットが点在しています:
- 一本木公園:バラや桜が楽しめる高台の公園
- 農産物産館オランチェ:地元の新鮮な農産物が購入可能
- 信州中野銅石版画ミュージアム:芸術作品を展示
地元の宿泊施設や温泉
宿泊施設
- 小さな旅の宿 ゲストハウスかのか
- まだらおの湯キャビンハウス
- お宿 まえだ
- 北信州バレーホテル
温泉施設
- 湯田中渋温泉郷:志賀高原の麓に位置する歴史ある温泉地
- 北志賀温泉:高社の湯など、天然温泉を楽しめる施設
丸世酒造店の伝統と未来
丸世酒造店は、1870年の創業以来、伝統的な「もち米四段仕込み」を守り続けながら、革新的な取り組みにも積極的に挑戦しています。
製造工程に込められた職人の技
もち米四段仕込みは、通常の三段仕込みの後に4回目として蒸したもち米を熱いまま加える独自の製法です。
2006年からは、さらなる味わいの向上を目指し、もち米を甘酒にしてから投入する方法から、蒸したて熱々のもち米を直接投入する手法に変更しました。
使用する原料へのこだわりも特徴的です:
- 酒米:「ひとごこち」「金紋錦」「山恵錦」など、長野県産の品種を使用
- もち米:信濃町産の「ヒメノモチ」を採用
- 仕込み水:志賀高原の雪解け水を使用
次世代への挑戦と展望
丸世酒造店は、伝統を守りながらも、次のような革新的な取り組みを進めています:
- 信州大学との産学連携による「信大クリスタル」技術の活用
- SDGsへの取り組みとして、太陽光発電の導入と災害時のインフラ機能の確保
- 長野県独自の白麹を使用した新しい酒造りの研究
- 地元の味噌蔵から採取した乳酸菌を活用した生酛造りへの挑戦
若き杜氏である5代目の関晋司氏は、「この土地の良さを最大限に引き出しながら、さらに上をいく新しいものをつくり出していかなければならない」という信念のもと、伝統と革新の調和を目指しています。
まとめ:丸世酒造店で体験する伝統と革新の日本酒文化
丸世酒造店は、150年以上にわたり受け継がれてきた伝統的な酒造りの技と、時代に合わせた革新的なアプローチを両立させている稀有な酒蔵です。
この記事の重要ポイント
- 創業150年の伝統技術を継承
- もち米四段仕込の独自製法
- 地元産酒米にこだわった酒造り
- 勢正宗の優しい味わいが特徴
- 酒蔵見学で製法を学べる
酒蔵見学では、ぜひ杜氏との対話を通じて、日本酒造りの奥深さを体験してみてください。きっと、あなたの日本酒の楽しみ方が更に広がることでしょう。